六度万行
仏教を開かれたお釈迦様は、『人生は苦なり』と定義されました。
苦しみばかりの人生の中であっても、人として幸せに生きることができるという教えが仏教です。
仏教のお経は、人として幸せに生きるためにお釈迦様が人々に教えられた方法を、お弟子さんたちが後年まとめたものです。
お釈迦様は、様々な方法を教えられましたが、その方法を6つにまとめられました。
その6つの方法を六度万行といいます。
1.布施:親切
2.持戒:言行一致
3.忍辱:忍耐
4.精進:努力
5.禅定:反省
6.智慧:修養
この6つは、密接に関係しています。
親切にするためには、努力しなければなりませんし、忍耐しなければならないこともあります。また自分自身の行動を反省することも必要です。自分の気持ちと行動を一致させないといけません。1から5までのいずれかの行いをするだけで修養になります。
ただし、この6つは、善く行わなければならないという制約があります。
『布施』ですが、ただ与えればいいものではありません。やみくもに与えると、もらった人がおかしくなります。
『持戒』も、自分の行動に対する判断基準が甘ければ、言行一致になりません
『忍辱』も、忍耐し過ぎるのも善い結果につながりません。
『精進』も、努力の方向が違っていたら、徒労に終わってしまいます。
『禅定』も、自身への反省が甘いと、責任転嫁に終始するかもしれません、
『智慧』も、やり過ぎると、かえって執着してしまいかねません。
適切な行動が求められています。
禅宗が一人では修行しないのは、仏教をよく聴くためだそうです。迷ってしまったときに第三者の存在は非常に大切です。間違った方向に進んでいるときに、間違っているよと助言してくれる人がいることは有難いことです。
人は、一人では生きることができない生き物です。何もかも一人でやる必要もありません。周りの人と助け合って生きることが六度万行を実践していることだとは思いませんか?
仏教の教えは、人の生活の中に根差している幸せになる因を示してくれます。特別な、なにかスペシャルなことをしなくても、日々の生活を適切に行うことで幸せになれるのだと教えています。