長者丸
2021年10月03日
井原西鶴先生が元禄時代に書かれた長者になる秘訣である。元禄バブルで浮かれる商人を戒めるために書かれた文章である。(井原西鶴先生は、大阪の裕福な商人。隠居して作家活動をして、さらに富まれた方。)
朝の早起き 5両
店の本業 20両
夜業 8両
倹約 10両
健康 7両
合計50両をばらばらに分析して、念を入れて調合すること。
絶対に量の計算や秤目を間違えないようにすること。
これを朝晩服用すると、長者に必ずなることができる。
ただし、この薬は、次のような毒と合わせて呑むと、効用を発揮しない。
1.贅沢をすること
2.遊びごとに夢中になること
3.博打をうつこと
4.関係のないことに手を出すこと
5.過度に宗教活動すること
6.他人のもめごとに係ること
7.投機活動に参加すること
8.過度に酒やたばこを飲むこと
9.お遊び行事の発起人などをすること
10.本業と無関係な仕事に手を出すこと
11.装飾品に金を使うこと
12.いい顔やええかっこしいをすること
13.高利の借金をすること
この教えは、現在にも通じる金言である。
朝の早起きと夜の仕事は、一所懸命に働くこと。
経営者は本業に注力して、投機話に乗ってはいけない。
経費を節約して資金を作り、商売繁盛のために投資すること。
健康を維持することが、商売繁盛の前提条件であること。
量の計算と秤目とは、事業を行うに当たっては予算を組んで支出を制御すること。
『始末・算用・勤労・才覚・信用』を備えないと商売はできないこと。
『自分よし、客よし、世間よし』の三方よしでないと、商売は長続きしないこと。
本当に短い文章の行間には、商売繁盛の秘訣がてんこ盛りされている。
経営者・起業を考えている方は是非原文を読んでほしい。