三方良し
2022年01月20日
三方良しとは、「売り手良し」「買い手良し」「世間良し」の三つの「良し」。 売り手と買い手がともに満足し、また社会貢献もできるのがよい商売であるということ、これは 近江商人の心得とされています。
戦国時代を経て、江戸時代になり、内戦が終わり、武士の世の中から商人の世の中になったことを如実に表す考え方だと思います。
「命か忠義かを選べと問われたなら、自分の命など微塵も惜しくはない」 などという一方通行な忠誠心を要求されるようになったのが、戦さが無くなって手持無沙汰になった武士階級。
世の中を支えているのは、いつの時代でも経済活動ですが、戦さが無くなったことで、軍需が無くなり、民需に頼るしかなくなった商人たちは、自分の利と他人の利と社会の利が揃って初めて自分の経済活動が順調になるということを学び実践しました。
全体の調和を目指す方向に舵を取りました、変化を恐れなかったのです。
部下の反乱を恐れた大名が、忠義や序列を尊いとした儒教に走り、関係の固定化・定型化に挑みました。
世の中は諸行無常(形はなく、常に変化していく)です。
自利利他ができると皆が幸せになります。
江戸時代の儒家は、商人を激しく攻撃し卑しみました。
関係の固定化を図りたい人々にとって、商人の変化を恐れない姿勢は脅威だったのでしょう。
儒家が主導した改革がすべて頓挫したのは、自然の摂理を無視して、頭の中にある妄想を世間を型にはめようとしたからでしょう。儒教家という我利我利亡者の戯言だったのです。
私たちは形に拘らず、自由な発想で生きましょう。自利利他が社会に安定と繁栄をもたらします。決して我利我利亡者にならないように戒めましょう。