安心
不安を感じやすい人は、生活環境や人間関係といった外的要因に感情が過敏に反応してしまう人だそうです。
日本人が「個」を認識するようになったのは、つい最近、50年も経っていないのではないでしょうか。団塊世代と言われる人々は、よく『我々は』と複数形で自分のことを話します。
もともと人間は弱い生き物で、群れて生きていました。だんだん科学技術が発達して、少人数でも生活できるようになり、現在、都会に暮らす人は、一人でも生きることができるようになりました。
生活環境が整備され「身体的安全性」が確保され、安全に暮らすことができる生活環境の中に自分の存在場所があるという「心理的安全性」が確保されると、一人で生活することに人は不安を感じなくなることができるということなのでしょう。
もっとも、一人で生きることができるようになった現在でも、人は、自分が所属する「安全・安心な人間関係」が3つか4つないと、生きていくうえで不安を感じることが多くなるそうです。今も将来も自分の役割があるということからくる安心感なんだそうです。「自分の役割」から生まれる「安心」は、「自由」と引き換えで得るものであるという風に感じる人も多いようです。不安を安心に変えると不満が生じるというのは人間の性でしょうか。
江戸時代の文化を研究している田中優子氏によると、江戸時代には「連」というコミュニティが数多く存在していて、この膨大なネットワークを利用して情報が行き交い、豊かな文化が形成されたそうです。
「連』というコミュニティは、あくまで「一緒に何かを行う」を重視していて、連が「存在」することが目的ではなかったから、活動しなくなったら即解散だったようです。
たくさんの連に属していれば、その連ごとの自分が存在することになります。多数の自分が同時に存在するのですから絶対的な個(一貫した自己)なんて別に無いということになります。
まさに諸行無常(形は常に変わる)ですね。
諸行無常の世の中では「自分はいつでもとっかえひっかえできる」という自信が「安心」につながるのだと思います。
とっかえひっかえして自分を楽しみましょう!