不安
2021年11月10日
恐いものを認識したとき、人は恐怖を感じます。
得体のしれないものは、きちんと認識できないから不安を覚えます。
「生ある者は必ず死に帰す」
死は万人の100%確実な将来です。しかし、人間は死んだら どうなるかについて認識できません。死というものに不安を常に感じます。
西洋では、thanatology (死生学)という人間の死と死生観 を研究し「死への準備教育」を目的とする る学問が展開されています。「人間は死者を埋葬する唯一の動物」であり、原始時代から、人類は「死に対する態度=死生観」を養ってきたのだそうです。『死は死んだ者だけに悲惨をもたらすのではない。死者に先立たれ、取り残された生者には孤独が残される。』のだから、幅広い様々な分野にまたがる研究になるそうです。
人間は死んだら どうなるかについてわからないことを 、仏教では『後生の一大事』という言葉で表現しています。
蓮如上人は、「後生」というのは私たちが死後に帰っていく場所のようなものですと説かれました。
人生を旅に例えると、後生は旅を終えた人が最後に帰る家なのだそうです。
旅を終えるときがいつかは解りません。今、この瞬間に終わるかもしれません。しかし、人はまだまだ後があると思って、不安でありながらものんべんだらりと生活しています。
『有後心』があると、生き方が生ぬるくなります。しかし、死がいつでも起こるのだから後が無いと自覚すると、 今を生きる姿勢が引き締まります。
帰る家があるのだから、人生という旅に不安になる必要はない。ただし、人生という旅は突然終わることがあるのだから、今という瞬間に集中して、精一杯生きろということになるのだと思います。