幕法遵守と地域尊重

2022年02月14日

元禄時代に経済が異常な形で発展した。いわゆる元禄バブルである。

この異常な状態を是正しようとしたのが、8代将軍吉宗で、様々な規制を課した。

普通、商人は、商売に規制をかけられるのを嫌う。

しかし、この時期、この規制を歓迎した商人たちが多くいた。

何でもありの拝金主義的な商売は、長続きしない。これをわきまえていた商人たちが多かったのである。

彼らは、幕府の定める法は遵守することと、商売する地域に迷惑をかけないことを家訓(商売上の規範)として定めた。

法律に反しない商売と地域と共生する商売を柱に据えたのである。

日本全体と自分の商域の双方を考えるということは、現在でいうところのグローバリズムとローカリズムの双方を両立させるという考え方である。

商売の根幹的な思考法はいつの時代でも通用する普遍的な思考法である。

変わるのは、サービスの提供方法であり、これは常に変化している。

例えば。

江戸時代の主要陸上路は、東海道である。これを補完する形で内陸部に、中山道があった。

東海道は整備されている、中山道は道路状況は東海道に劣る。経済の発展の具合も東海道沿いと中山道沿いでは明らかに違う。

この違いを明確に区別して、東海道向けの商品と中山道向けの商品を変えることに長けていたのが、近江商人と言われている。

良い商品を届ける(普遍性をもつ思考)。

東海道沿いにとって良い商品、中山道沿いにとって良い商品を選別する(常に変化する)。


今、一つの商品をすべてに押し付ける形でグローバリズムが展開されているが、一つの商品だけですべてまかなえる環境は存在しないと考える。