本来の自己
巷では自己啓発本がよく売れています。自分探しをしている人が多いことを証明しています。自分探しの最大の問題点は大半の人が絶対の自己(たったひとつの自分)があると勘違いしていることだと言われます。
諸行無常ですから、常に自分も変化しています。だから、絶対の自分というものは存在しません。存在しないものを探すから迷ってしまうのです。
絶対の自己はありませんが、本来の自己はあると考えましょう。一つだけではありません。二つ、三つ、数多く本来の自己があるのです。
仕事場では、上司・同僚・部下・取引先など様々な立場で行動します。
家庭では、配偶者・親・子などの様々な役割があります。
自分がいるその場その場に本来の自己があります。今やっていることに本来の自己はあります。
上司としての本分を尽くす、同僚としての本分を尽くす、部下としての本分を尽くす。取引先としての本分を尽くす、配偶者としての本分を尽くす、 親としての本分を尽くす。子としての本分を尽くす。
本分を尽くすとはどういうことでしょう?
本分を尽くすとは、今、為すべきことを為すこと、自分が、今、何をしなければならないかと、真剣に考えると、本来の自己が見つかります。それを為すのです。
なぜ、人間は絶対の自己を求めるのでしょう?
世の中は理不尽ですから、たくさんの理不尽が存在します。たくさんの理不尽に人間は悩み苦しみます。
絶対の自己と違ったことをしているから、理不尽な目にあい、悩み苦しむのではないか。絶対の自己にあったことをすれば、悩まなくてよいのではないかと、多くの人は考えます。
先に書きましたが、絶対の自己はありません。
理不尽には、本来の自己で向きあいましょう。
理不尽の一つの解決に本分を尽くしてみましょう。
抱えている問題に無我夢中で取り組んでみると突破口が開けることがあります。突破口を抜けてみたら、悩んでいた問題のうち、いくつかはどうでもいいことになっていたということがよくあります。現状に止まり続けているから、同じような問題がたくさん湧いてくるのです。現状を変化させてしまうと、ある問題が重要な問題でなくなってしまったということが起こります。似たような問題はほとんどすべてが重要な問題ではなくなってしまうのです。
理不尽はたくさんありますから、全部を片付ける時間はありません。1点に集中して問題を解決し、似たような問題をすべて取るに足らない物にしてしまうということは非常に価値があります。
本来の自己を見つけましょう。
日々の生活を送る際に、今の本来の自己は何であるのか、しっかり認識して、今の自分の本分を尽くしましょう。
人間は共感する生き物です。その場その場で本分を尽くす、問題に情熱をかけて取り組んでいる姿を見ると、周りの人は良い影響を受けます。 一人が本分を尽くすと、周りが本分を尽くすようになります。本分を尽くす人間を、一人、二人と増やしていくことで、悩む苦しむ環境から抜け出すことができるでしょう。