門前の小僧

2022年02月15日

親の働き方を、子供はよく見ています。

親の職業のメリット・デメリットをよく知っています。

お医者さんの子供が、お医者さんになることが多いのが、親の職業のメリットについてよく知っているからでしょう。

公務員の子供が、公務員や上場企業のサラリーマンになることを好むのも、手堅い職業であることのメリットを良く知っているからでしょう。

商売人の子供は、大手企業の安定性に対するあこがれと商売人の自由を手放すことげのためらいとの間で揺れるでしょう。

『門前の小僧、習わぬ教を読む』ではありませんが、長年、身近にあったものは、メリットもデメリットもよくわかります。親や身近な存在の人を同じ職業に就くことが多いのは、メリットとデメリットを天秤にかけて、メリットのほうが多いと感じるからでしょう。親と違う職業につくのは、親の職業のデメリットから逃れたいと思ったからでしょう。

一方で、仕事を決められず、転々と職を変えている人もいます。よく自分探しという言葉を彼らは口にします。

自分探ししている人が、なかなか自分を探せないのは、新しいことに不慣れで、メリットとデメリットがよくわからないからです。

新しいものを始めたものの、慣れないことに戸惑り、戸惑うことで自分に合わないと決めつけてしまう。

彼らは何かを最後までやり遂げるという体験が乏しいですから、戸惑っただけで、すぐ途中で投げ出してしまう。

井原西鶴先生は、『日本永代蔵』のなかで、『手遠きねがひを捨てて、近道にそれぞれの家職を励むべし』と主張されています。

身近にある職業で成功を重ねて自分を変えていくほうが、漠然とした夢を探しているよりも、よほど幸せであるということだと思います。

身近にあるものに親しみ、門前の小僧になりましょう。自然と成功してしまうものが身近にあるのです。